Gekka Bijin

静かに寄り添うように
夜長に広がる影
幼い頃描いた姿
空に浮かべた

初めて見た夢を
包み込む
月明かり
祈りを旋律に置いて
奏でよ

甘く優しく
匂い立つ香が
僕の胸を刺して
刹那に過ぎ行く今を
知らせようと

淡く儚く
純白に揺れて
明日の色”探してる
切ないほど美しい
幻の花

どれほど、目を背けて
気付かぬ振りのままで
止まらぬ針の音に
しばし耳を澄ませる

朽ちてく
浪漫には
集い出す
蝶の群れ
永遠の乱舞は
プリマさながら

花は見ごろより、散り際に美を
気高く種を残すよう
その株を分け与えて
次がれゆく

月と歌う最終楽章の
幕は死に生きずく
心を突き動かすは
魂の声

人は、誰しも迷い繰り返し
学びを重ね生きる
今日という日をいつくしみ
生まれ変われる

甘く　優しく
匂い立つ香が
僕の胸を刺して
幾重に時を編むように
満たされる

目覚めゆく空に溶けてく香が
僕の中に流る
朝焼けに踏み出すのは
唯一の花